変化の種

Shoichi Uchinamiのブログ

Starley株式会社 参画趣意書

本来、設立趣意書とは、広く社会に向けて書かれるものなのかもしれないが、私はあえて、この会社に集ってくれるであろう未来の社員だけに向けて語ってみようと思う。

なぜならば、私にとっての会社とは、何かの期待を持って集まる人々の集合のことだからだ。
スポーツチームのように明確な目的の元に集うわけではなく、公的機関のように課せられた使命を持った組織でもなく、気が合うからという理由でたまたま一緒になったわけでもない。

こうなりたい、こうあって欲しい。
はっきりとした言葉にはできなくとも、人は多くの期待を持っている。
その数多の期待の一つが重なる場所として、私はこの会社の設立に立ち合おうと思った。


私が期待する、この会社が受け皿となるものとは何か。


この文章を書いている今も、私の心には大きな不安がある。
会社を起業する経験が初めてであることが影響していることは否定しない。
しかし、それよりも、現在のとてつもないスピードで進化していく情報技術の変化への恐れ、興味があったはずのその分野で何者でもない今の自分への劣等感、そして、そんな状態でありながらもその分野で何かをなそうと会社を始めることへの恐怖、それらが生み出す、自分が何の価値もない存在だと錯覚してしまいそうな不安が私の心を大きく占めている。
逃げ出したいとさえ思っている。

そのようなストレスとは距離を置いて、自分の身の丈にあった仕事をし、平穏な生活をするという道もあっただろう。
仮に多元世界のうちの一つでそれを選択した自分がいたとしても、私は何も非難しないどころか心から肯定する。

だが、もし私が感じているこうした不安を、この世界の他の誰かも感じていたならば。
あるいは今は感じていなくとも、近い将来その不安に悩まされる人々が現れるとしたならば。


私はかつて、自律した個人という存在を信じていた。そのような人間になりたいと思っていた。
しかし、ヒトとは人間と人間との相互作用の中に存在する概念であり、決して孤立した一人の解としては存在できないと悟った。

であるならば、私と似た人々の不安をケアすることこそ、自分の不安を和らげ、自らを幸せに導いてくれる道なのではないかと考えるに至った。


この会社が受け皿になって欲しいと、私が期待するものは「共鳴」である。
「立ち向かう(Stand up to)」べきものと向き合う際に、
「傍に立つ(Stand by me)」ことで安心を与えてくれる仲間と共に、
社会の人々を、私が感じた変化への不安から解放し、より自由で幸せな人生を送ることができるようにする。
そのために、仲間達と共鳴し、「人々の心と共にありつづける何か」を作る。
そんな会社であって欲しいと願いながら、Starley株式会社のメンバーとして、ここに参画する。

2023/3/24 内波生一